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精神的に自立している患者への心配り~新米看護師の体験談~

看護師として患者さんを見ているといろんな特徴があることが分かりますよね。そんな特徴の中で接し方に特に気をつけたい患者さんに『精神的に自立している人』がいます。

患者さんは、誰もが看護師をはじめとする医療関係者に頼りきって入院生活をするわけではありません。患者さんにも個々の性格があって、プライドだってあります。

すべてを看護師に委ねて入院生活を送る人もいれば、体は病を患っていても精神的に自立していて、できるだけ看護師の世話になるまいと考える人がいます。ですが、それがなかなか新人看護師には見えてきません。当然と言えば当然なんですけどね(^_^;

それは患者さんを個々の人間としてではなく、『患者さん」という括りですべて同じに見てしまいがちだからです。

私の看護師1年目に出会った患者さんで

私が看護師1年目であった頃、入院したばかりの女性の患者さんがいました。変形性膝関節症で手術のために入院した80歳に近いこの女性は、年齢にしては背筋がすっと伸びていて凛とした印象でした。

膝関節の痛みが強かったので、入院時に持参していた杖はいったん控えて、歩行器を使うように説明してベッドサイドに置いておきました。そして、歩行器を使う際には必ずナースコールで知らせて欲しいと説明しました。

すると、その女性は「歩行器を使うくらいで、わざわざ来てもらうなんて申し訳ない」と言いました。本来なら、そこで気づくべきだったのですが新人の私には分からなかったのです。

そしてその夜、この女性はベッドを降りたところで転倒してしまいました。

なんと、ナースコールで看護師を呼ぶことをせず、歩行器も使わず自分一人でトイレに行こうとしたのです。そしてベッドから降りたとき、膝が痛くて転んでしまったということでした。

この女性は「看護師に迷惑をかけたくない」「自分に時間を割いてもらうのは申し訳ない」「年寄り扱いしないで欲しい」「人並みに動けない自分が情けない」そんな考え方をしている人だったのです。

何かをしてもらうことを相手に迷惑と思う人もいる

こういった患者さんは、できるだけ医療関係者に迷惑をかけないように気丈に振る舞うことが多いので、痛みや不都合なことについて正直なことを言ってくれない傾向にあり「大丈夫」とよく言います。

そんな患者さんには、あくまでも入院生活の主体は患者さんであり看護師は手を貸しているだけですよということを伝え、看護師もその認識を持つ必要があると思っています。

また、1人でやっていいこととやってしまっては危険なことを区別して、しっかり伝えておくべきです。さらには、本音を言ってくれないことが多いので、日頃の世間話などのときによく観察することが重要になります。

そして、看護師に余計な気を使わないような心配りをしたいものです。忙しそうにしていれば、こういった患者さんは余計に看護師に声をかけなくなるのです。

ただ、新人看護師にはこういったことは分かりません。できればこうした精神的に自立している患者さんについて、先輩看護師には的確なアドバイスをして欲しいなと思います。

今日の部屋持ち:いずみん

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