看護師のお悩みとお仕事的コラム

企業で働く看護師の経験

高齢者医療確保法の施工に伴って、2008年から促進されてきたのが特定健康診断です。その内容は、40代以上の方を対象として健康診断を実施し、生活習慣病の早期発見・予防につなげるという目的があります。

特定健診を法律に規定したその背景として、超高齢社会を迎えて財政がひっ迫する日本において、医療にかかる国の支出を少しでも減らすことで財源を確保しようという考えがあるようです。

そこで、一次予防の一貫として、一定の従業員がいる企業には産業医や保健指導のできる看護師の配置が義務付けられました。

これらの動きによって、企業で働く看護師が増加してきているという現状があります。保健指導を主な業務として、看護師は企業内で活躍しています。

企業で働く看護師のほとんどが保健師の免許も取得しているようです。臨床経験を持たずに、資格を取得してから直接企業に就職する看護師の中には、経験の少なさゆえの悩みを抱くことも少なくありません。

特に、具体的な医療機器の使用方法や看護技術の基礎については、病棟看護師と比較して知識・経験ともに乏しいという事実が挙げられます。

たしかに、慢性期の糖尿病で自己管理している患者さんよりも、企業で働く看護師のほうが、血糖測定の主技が身についていないとこともよく見受けられます。

しかし、企業で働く看護師の大きな役割は、従業員の健康を管理することです。健康と不健康は連続した関係にありますが、自己管理が困難だったり、健康に対する意識が低い従業員に対して意識付けを行い、自分の健康を自分で管理できるように導くという大きな役割を担っているのです。

病棟看護師は、患者さんが退院してしまえばそこで関係は一旦終了となります。

企業で働く看護師は、毎日出社してくる従業員一人一人の健康を気遣い、長期的に保健指導をしていかなければなりません。

勤務時や自宅等、看護師が目の届かないところでその人の行動変容に繋がるよう働きかけることは、簡単なことではないはずです。

企業で働く看護師は、保健指導のプロフェッショナルとして高い意識を持ち、企業全体の健康管理能力が向上することで会社に貢献していくという大きな責任があると考えてみてはいかがでしょうか。

今日の部屋持ち:ナミ

-看護師のお悩みとお仕事的コラム