看護師のお悩みとお仕事的コラム

グリーフカウンセラーという仕事について

昨今、看護師の転職がとても盛んです。
背景には看護師不足という厳しい事情があるのはご存知のとおりですが、その転職のきっかけが、勤務帯である2交代や3交代のシフトが辛い、これまでのように業務に体がついて行かない、といった理由をあげる人もいます。

体力をまったく使わない仕事というのはありませんが、3交代する必要がなく走り回らなくて良いということから、カウンセラーという仕事に目を向ける看護師が多くなってきています。

中でも、臨床での経験から看護師自身が必要性が高いと感じているのがグリーフカウンセラーという職業です。

グリーフケアとは、祖父母や両親、兄弟姉妹や子どもなどの家族が亡くなった、あるいは妊娠中だった子どもを流産で亡くした、死産だった、そういった近親者を失った人が抱えてしまう喪失感や耐え難い悲しみ(グリーフ)を和らげることを指します。

看護師として働いていると、患者さんの死に直面する際には、必ずそのご家族の対応を迫られます。

病気や怪我で入院していれば、元気になって笑顔で退院していく人もいれば、どんなに治療を施しても命を落としてしまう人はいます。

後者の家族は、底知れぬ悲しみに襲われ、その場から動けなくなります。

時間がそこで止まってしまったように、前に進む力がなくなってしまうのです。

中には、後追い自殺をしようとする人さえいます。

そんな、残された遺族の心の痛みを癒し、遺族として今後の人生を踏み出すサポートを行うのがグリーフカウンセラーと呼ばれる職業になります。

読売新聞によれば、静岡県ではグリーフケアを専門としたカウンセリングを行っているのはわずかに1箇所だけにとどまっています。

欧米ではよく知られるこの職業は、日本では震災関連のニュースでメディアに取り上げられたくらいで、一般の人はあまりよく知らないというのが現状です。

ただ、超高齢化社会を迎え長年一緒に過ごした人を見送る家族が多くなっていくことは事実です。

また、一人暮らしの人がペットをパートナーにしていることがありますが、通常、ペットは人間よりも短命です。

ペットロスの言葉が示す通り、家族同然の存在がいなくなってしまう喪失感は自分だけで埋められるものではありません。

かけがえのない存在の死に直面した人の心を支えるグリーフケアが、今後大いに必要となることは間違いありません。

もし、看護師から転職してグリーフカウンセラーとして活躍したい場合には、養成講座を受講する必要があります。

資格が取得できたら、カウンセリングルームに勤めることもできますが、自分で開業することもできます。

しかしながら、前述のようにグリーフケア自体の認知度がかなり低いため、まずは周知に力を注ぐことになり、事実、上記の静岡県のカウンセラーも周知のための講演会などを盛んに行っている状況です。

ただ、グリーフケアが世の中に浸透すれば、看護師の経験を活かして転職できる職業になるはずです。

看護師としての経験を活かし、スキルアップするなら打ってつけの職業だと思います。

今日の部屋持ち:いずみん

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