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看護師バブル崩壊?病院看護師不足は近い将来解消されるか?

現在、医療の現場では看護師がまったく足りていない状態が続いています。看護師の資格を持つ人は、新卒であろうとブランクがあろうと、どこの職場でも引く手数多でいつ転職しても、選り好みしなければ次の仕事がすぐに見つかるという状態が続いていますよね。

だから、看護師の転職をサポートする転職サービスも乱立している状況です。

この現状は、一部で看護師バブルと呼ばれているようですが、今のままでは看護師バブルは崩壊し、多くの看護師が行き場を失うのではないかと言われています。

大学での看護学科の新設

現在、多くの大学では看護学科を新設しており、この20年間に看護師を養成する大学の数は約20倍に膨れ上がっている状態です。

一見、看護とはまったく縁のないように見える大学でも看護学科を設置するなど、少子化の背景を考えると無謀とも言える状況が繰り広げられているのです。

3年で卒業できる看護専門学校と看護大学が異なるのは、看護大学なら4年間学ぶことで卒業時に看護師と保健師の国家試験の受験資格を得られる点です。このメリットは、就職するときの大きな武器になることから、大学側もある意味強気なのだと思います。

看護師が余る年が近いうちに来る?

そんな中で医療コンサルティングのグローバルヘルスコンサルティング・ジャパンが、近い将来、11年後の2025年には看護師が14万人余るという試算を出したのです。

特に病院の病棟に勤める看護師は、今のままでは行き場をなくすということです。

理由は、前述した看護大学の乱立で純粋に看護師が増えることもありますが、診療報酬の改定が背景にあります。2年に1度、診療報酬の改定が行われますが、そもそもの失策の始まりは2006年度に新設された7対1病床という区分です。

この看護師配置基準を満たせば、入院基本料も大幅に増額するという政策を打ち出したために、当然、多くの病院がこの基準を満たそうと看護師をどんどん募集することとなりました。

ところが、基準を満たした病院が多くなったことで、その影響がダイレクトに日本の医療費に跳ね返ってきたのです。

2012年度の医療費は38兆4千億円となり過去最高の額をマークしてしまいました。そこで、国はさらに診療報酬を改定し7対1病床を約9万床減らすこととし、替わりに在宅医療に取り組んでいる診療所などを優遇する策に出たのです。

つまり、これからは長く入院させている病院より、在宅医療に取り組むクリニックや訪問看護の方に診療報酬が多く配分される、というわけです。普通に病院で働く看護師が余る時代がそこまで来ているのです。

若手のナースは訪問看護の道も考えておくと良いかも?

まずは職場がどのような経営状態なのかを知ってみるといいかも知れません。病院経営の視点を持つのはなかなか難しいかもしれませんが、多くの病院でそれほど儲かってはいないハズです。

若手の看護師は、今後も病院看護師をずっと続けるという考えだけでなく、診療報酬の改定があっても動じないような職場に今のうちに移動してキャリアを積んでおく、という考えを持ってもいいのかもしれません。

看護師として確実に生き残れるだろう訪問看護師は、病院看護師と比較すると給料も安いし、看護というよりは介護の色が濃いためにその仕事を避ける看護師も現状では結構います。いかに訪問看護師のやりがいをアピールしていくか、ということが今後、関係者に求められるでしょうし、実際に看護師としてのやりがいの多い職場になって欲しいものです。

今日の部屋持ち:いずみん

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