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エボラ熱とその看護について

今年3月、ギニアで患者が増え始めたことがきっかけになって、今、西アフリカで猛威を振るっているのがエボラ熱(エボラ出血熱)です。

死者はすでに2000人を超すとも言われ、WHO(世界保健機関)は「国際的に懸念される公衆衛生の緊急事態」と宣言した上で多方面での対応に追われていますね。

シエラレオネでは、外出を制限するなどして対策を打ち出していますが、死者の増加は一向に止まりません。WHOによれば、今回流行しているエボラ熱の致死率は50%以上にのぼると言われています。

MSF(国境なき医師団)の看護師さんの話

そんな中で、現地でどのような医療が提供され、看護が行われているのかについてMSF(国境なき医師団)の看護師である吉田照美さんが話されたことをご紹介します。

吉田さんは、今年の6月半ばから約1ヶ月の間、シエラレオネでエボラ熱の患者の看護に行って来たそうです。

エボラ熱は、エボラウイルスが原因で広がる感染症で、明確な治療法が確立していません。早ければ2日、長くても20日ほどの潜伏期間の後に頭痛や発熱、のどの痛みなどの風邪のような症状が現れてきます。

その後、症状が進むと下痢などの消化器症状や肝機能や腎機能の異常が起こり、末期に達すると下血や吐血を呈して死に至るという、致死率の高い疾患です。感染した患者の吐瀉物や血液に触れることで感染するために、エボラ熱の患者と接する区域では全身を覆う防護服の着用が義務付けられています。

そんな中で、吉田さんは1回につき1時間だけと制限された区域内でのエボラ熱の患者の看護をほとんど毎日3回行ってきたそうです。

患者は専用のテントに収容されていますが、赴任した直後にテントの隅ですでに死亡している患者に気付いたこともあったと言います。また、家族をすべて亡くして1人きりになってしまった少女もいたと、いたたまれない現状がそこに広がっていたと語っています。

エボラ熱には特効薬がないので、対症療法を行い経過観察するしかありませんが、それで回復する患者は半分はいるそうです。家族を失い、辛くても頑張って生きている人たちが現地にいることを知ってほしいと吉田さんは言っています。

WHOはエボラ熱のワクチンが、今年の11月から利用可能になる見通しであると発表しました。

これを実現して、現地でこれ以上苦しむ人が出ないようにしてほしいものです。

今日の部屋持ち:いずみん

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