看護師のお悩みとお仕事的コラム

インシデントが増加し続ける理由

当然のことながら起こしたいわけでもないのに、インシデントを繰り返してしまう看護師は、実は意外に多いものです。アクシデントまではいかないのですが、インシデントを起こした時点で看護師としての自尊心が傷つく人は多く、また精神的なダメージが大きくのしかかります。

日勤、夜勤を繰り返す勤務の中で、落ち込めば落ち込むほど身体的にも辛くなってしまいます。心の負担はやがて体への負担となり、それが原因で体調不良を引き起こすことにより、結果的にアクシデントにもつながる恐れもあります。だから、看護師はインシデントを絶対に起こさないよう注意することが必要です。

インシデントは、ヒヤリ・ハットとも言われますがアクシデントの前の段階のことです。もう少しでミスに繋がってしまうところだった、というヒヤッとする状態です。アクシデントまでいくと患者に影響が出てしまって、訴訟となるような医療ミスにもつながってしまいますから、インシデントの状態を予防することで、アクシデントを絶対に起こさないようにどの医療施設も躍起になっています。

そして、どの職場にも独自のインシデント防止マニュアルを設けており、病院で一丸となって取り組んでいるのが現状です。にも関わらず、インシデントの数は増加傾向にあるのも事実です。

多くの病院がホームページなどでインシデント・アクシデントの公表を行っていますが、伊賀市立上野総合市民病院が四日市市の市議会議員全員協議会でこの3月に報告したところによると、平成24年の1月から15ヶ月間の間に、インシデントが499件も起こったとのことです。前年度と比較すると、230件も増加しているため再発防止のために、患者の状態把握を徹底した上でチームによる安全対策を実施していくということです。

防止のために動いているのにインシデントが増えている理由は、それだけ細かなチェックを行っているためです。

この病院ではインシデントをヒヤリで終わって患者に影響のないレベル0にはじまり、アクシデントが患者の死因となってしまうレベル5まで7つのレベルに分けています。今回、報告のあったインシデントの内訳を見てみると、499件のうちレベル0が半数以上の250件、ヒヤリとしたけれども患者には影響を及ぼさなかったレベル1が156件と、これだけで400件を超す数値となっていることが分かります。

とは言え、病院でのミスはどんなに小さくても、患者に影響が及ぶ可能性は否定出来ないために、インシデントはどんなにちょっとしたものでも報告書を提出しなければなりません。そのため、徹底した調査をすればするほどインシデントの数は増加し続ける傾向にあるのです。

今日の部屋持ち:onoi

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