看護師のお悩みとお仕事的コラム

訴えるこのとのできない赤ちゃんの痛みを緩和するには?

看護の対象は人間です。
そこに老若男女は関係なく、どんな人間でも必要であれば看護の対象となりえます。

もちろん、生まれたばかりの新生児も看護の対象です。

小児や新生の看護の基本は、その患児の様子から観察したことをもとに看護を実践することにあります。

ある程度、言葉を話せる子どもや大人なら「痛い」「息苦しい」「気分が悪い」など、今の状態を適切な言葉で相手に伝えることができます。

それに対して、看護師の方も言葉を使って尋ね、何が今の看護としてベストであるのかを探っていくことが出来ます。

しかしながら、小児、ましてや新生児にはそれができません。

泣くことでしか伝えられないのです。

つまり、自分の訴えを言葉にできない、うまく伝えることができない、泣くことしか出来ない、そんな声なき声に耳を傾け、看護を行っていく必要があるのが小児や新生児ということになります。

そんな中、NICU(新生児集中治療室)で新生児が治療に必要なケアに伴う痛みをできるだけ和らげるために、その対策をまとめた指針案が公表されました。

まとめたのはNICUの関連学会のメンバーで、過去にこのような指針は発表されてはいません。

なぜ、このような指針がまとめられようとしているのかといいますと、海外の研究によると、早産児は痛みを感じやすいことが分かったのです。

また、必要なこととはいえ、新生児の時に痛みを何度も経験することが幼児期の発達に影響したり、痛みに敏感な子になってしまったりすることも懸念されると言います。

そこで今回、新生児の痛みを和らげるための取り組みがはじまったのです。

痛みを伴う処置は主に、採血や点滴、カテーテル挿入になりますが具体的な対策としては、まず、そういった処置の時は胎内にいるときのような丸まった姿勢を保った状態で行ったり、親が抱っこしているときに行ったりすると、痛みも和らぐと考えられます。

さらに、処置の時は看護師の手や毛布などで新生児の体を包むようにすることを指針では勧めています。

母乳を与えながら処置することや、処置の前後に心拍数や手足の動き、表情などを観察することで新生児がどれくらい痛がっているかについて調べることができることも紹介されています。

他にも、指など何か口に含ませて安心させてあげる、処置の前に(特に足底からの採血の時など)ショ糖を口に含ませてから処置をはじめるなど、様々な工夫が盛りだくさんです。

2015年には、この指針案が完成する見込みだということで、全国にあるNICUの2765床(2011年医療施設調査より)の新生児がそのときを待っていることでしょう。

治療が必要な新生児が、痛みから少しでも開放されるよう看護師も留意しながらケアしていきたいものです。

今日の部屋持ち:いずみん

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