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医療事故調査制度は医療の現場を変える?

2105年10月から医療事故調査制度というものがスタートします。これは、医療機関での診療・検査・治療中に、予期せぬ患者の死亡事故が起きた際に該当施設以外の第三者が立ち入って、専門家の知識と視点を交えながら適切な調査を行うことを目的としています。

ですので、死亡事例があった場合には新しく設置される「医療事故調査・支援センター」に届け出ることが義務付けられることになります。届け出を行った医療機関は、まずは院内調査を行って同センターと死亡患者の遺族に報告を行います。

そこで、センターと遺族の双方が納得する結果であれば調査はそこまでですが、もし、何らかの不服があれば遺族からセンターに再調査を依頼することが出来る、というシステムになっています。

こういった制度が設けられるきっかけになったのは、やはり隠蔽体質がまったく改善しない医療機関の対応にあります。

同じ医師が担当した手術を受けた患者が次々と。。。

例えば、東京医大事件がその1例です。2002年から2004年にかけて、同大学病院で同じ医師が担当した弁置換手術を受けた患者が次々と死亡したのです。

弁置換術は技術的に確立した手術であるため死亡率は低いはずなのに、同じ医師の手術で立て続けに4件の患者の死亡してしまったのです。

内部告発により報道で事態が表面化しましたが、その後、第三者の専門家が調査したことで多くの問題点があぶり出されることになってしまったのです。

そして、この事件から10年経った今、死亡事例に対する医療機関の対応が変わったかといえば、決してそうは言えないのが現状です。

今年に入っても、東京女子医大病院や千葉県がんセンターといった、いわゆる最先端の医療を取り扱うような大病院の死亡事例が相次いでおり、院内調査は行われたものの信頼できるものではなく、外部の再調査が入ったことは記憶に新しいところです。

自浄作用が働くことなく、院内調査は医療機関の保身のために都合よく書き換えられます。

医療事故調査制度

この状況を打破するために、医療事故調査制度の準備が着々と進んでいるのですが、1つ問題があります。

この制度は、死亡事例が起こった医療機関が届け出や調査を自ら率先して行うことが大前提になっている点です。

この制度が稼働することで医療機関の意識がどれだけ変わるのか、どれだけ信頼に値する制度となっていくのかは、今後注目していきたいものですね。

社会全体が注目して行けるよう、マスコミなどでも医療過誤の事件だけでなく制度のことについてもいろいろ取り上げてもらいたいものです。

今日の部屋持ち:いずみん

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