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矯正医官不足の打開策はあるのか?

医療従事者が公共機関で働く場合、当然、立場は公務員と言う形になります。世間一般では公務員は非常に安定した不況に強い職業であると思われていますが、例外的に人気の少ない公務員もあります。その一つが矯正医官になります。

矯正医官は聞きなれない職業ですが、いわゆる刑務所の医務室で勤務する医師になります。全国的に矯正医官の不足問題が大きな問題となっていますが、その中でも特に深刻な問題になっているのが群馬県前橋市の刑務所の矯正医官不足の問題です。前橋刑務所で働く矯正医官は2014年1月現在で一人もいないと言う異常事態が続いています。

医師不足は刑務所に限った問題ではありませんが、中でも刑務所は深刻な問題となっており、前橋刑務所では、2013年までは高齢の矯正医官が勤務をしていたのですが、やはり年齢もあって辞任をすることになってしまいました。その後、矯正医官の希望者がないまま月日だけが経ち、矯正医官が全くいない状態が続いていると言う状況です。

矯正医官のなり手が少ない理由の一つが、前述の公務員と言う待遇にあります。

公務員と言うのは、国が雇用する職員であり、その賃金などは国によって厳格に定められています。一般のサラリーマンからすれば安定した高給というイメージがあるかもしれませんが、専門職である医師から見れば、民間の医療機関で働くほうが遥かに安定して高い収入を得ることが出来るため、就職先としての魅力が全く感じられないのが理由にあります。

また、刑務所に勤めると言うことは、日常の業務が突発的な怪我や簡易的な病気の診察、治療に終始すると言うことになります。最新の医療に関わる機会がほとんどなく、医療技術を磨くことなどは全く期待が出来ない環境は、若い世代の医師にとっては全く魅力のない職場なのでしょう。

この状況を打開するためには、矯正医官に対する法改正などを行い、近隣医療機関で持ちまわりで矯正医官を派遣するなど行政の介入が必要になるでしょう。そうでなければ、若手を含む医師が十分に働く意欲を感じさせられる給料を含んだ現状の待遇面の改善を行わなければなりません。

現状のままでは、矯正医官のないままの状態が改善されることはほとんどないだろうというのが専門家としての意見です。

今日の部屋持ち:いずみん

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