厚生労働省がこの6月に発表したところによると、2015年から不妊治療などに使われる排卵日検査薬や、尿路結石や大腸がんを調べる検査薬を薬局・薬店、ドラッグストアなどで購入することができるようにする方針だということです。
これらの医療用検査薬は、現在は医師の処方が必要なので病院に行って検査するか、かかっている医師に処方してもらうかどちらかでしか手に入りません。
しかし、来年からは処方がなくても個人が自由に買えるようにするということです。
では、なぜこういった医療用の検査薬を処方なしで買えるようにするかというと、すべては毎年膨らみ続ける医療費を少しでも抑制するためです。
よく報じられていることですが、国民医療費は毎年どんどん増加し続けており、2014年には、いよいよ40兆円を突破し、今のまま増え続ければ10年後の2025年には50兆円の大台に乗ると予想されています。
ですから、少しでも医療費を削減する政策を打つことが必要で、今回の医療用検査薬の市販拡大はその1つというわけです。
今回、販売対象となるのは、排卵日検査薬と尿路結石や大腸がんを調べる検査薬ということですが、現在、不妊治療を行っているのは厚労省の推計によれば約46万人、尿路結石の患者は約10万人、大腸がんは20万人以上となっています。
検査薬が販売対象となった理由は、日本医師会が医療知識の乏しい人が誤診をしないよう販売できるのを検査薬に限定するように主張しているためです。
ですから、政府の規制改革会議が今後の市販化を提案しているのも、糖尿病などの生活習慣病を調べることができる検査薬を含めた49種類の医療用検査薬です。
確かに、検査薬に限定して市販化に向かう背景も理由も理解できますが、この方法で医療費は抑えられるのかは疑問です。
例えば、診察室では患者さんの訴えを聞いて、医師が疾患を予測して診断を確定するために検査を行います。
だから、検査に至るまでにはある程度の病気に関する知識が必要なのです。
どういった症状だったらどんな検査をした方がいい、といったことが分かっていなければ検査薬まで行きつけないはずです。
自分がどんな検査をしたら良いのかはっきりしない人は、やっぱり病院を受診すると思います。
今後、ドラッグストアで買える検査薬が増えていくでしょうが、その販売方法によって医療費の動向がかなり違ってくると思われます。
正式に販売が決まったなら、病気の知識が乏しい人が検査薬まで行き着けるように周知して欲しいものです。
今日の部屋持ち:いずみん